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遺犬 モモタロウの成長日記

 
ご主人を亡くした一匹の犬の運命と成長をご紹介します。
2013.11.19  10:00

!?
摂津市のあるアパートで作業をしていると、押し入れの中から今にも消えてしまいそうな、か細い声でで鳴く一匹のチワワが隠れていました。見積もりに行ったスタッフに聞いてみると、てっきりご遺族様の誰かが引きと取って帰られるのだろう、と思っていたそうです。作業をしながら犬に餌と水を用意しましたが、なかなか口をつけてくれません。痩せ細った体をブルブルと震わせながら、犬は私たちの作業をじっと見つめていました。

 作業後、ご依頼者は泣き崩れながら、どうしても犬を引き取れないとおっしゃられました。私は覚悟を決めました。スタッフ全員で友人など片っ端から連絡をし、もらい手を探しましたが結局見つからず、今晩は家に連れて帰ることにしたのです。

妻の決断

帰宅した私は玄関で少しためらいました。妻には事情を話していたものの、今晩限り、という約束をしていたからです。明日の朝には動物愛護センターに連れて行かなくてはならなかったのです。

「ただいま!」と私はいつもより明るく声を上げて玄関を開けました。妻が玄関先に来た瞬間、犬は吠えて鳴き止まなくなりました。しかも家には飼い猫がいます。

「ごめんな・・・。」

そう言うのが精いっぱいでした。噛まれながらも私と妻は犬の体を洗い、そして風邪をひかないようにしっかりとタオルで拭き、ドライヤーで乾かしました。。そして餌を与え、いざ、最期の散歩に出かけたのです。するとどうでしょう、元気がなかった犬は嬉しそうに走り出し、私たちの顔を何度も何度も見上げてきたのです。その姿を見て、妻が言いました。

「命は尊いもの。あなたがいつも話している事でしょう。愛護センターに連れて行くなんて、あなには無理でしょう。」

まったく妻には頭が下がります。

「名前どうする?」と妻。

「突然、現れた命だし、桃の実みたいな体の色をしている。だからモモタロウにしよう!」

「うん!」

「ワン!」

私たちの声は、深夜の町に響き渡りました。

少しずつ・・・。


モモタロウが家に来て一週間が経ちました。

生活習慣もすっかり変わりました。朝は6:00から散歩に出かけます。そこから大急ぎで仕事の準備です。早い時で、私は5:30頃に家を出ます。そのような日は妻が散歩に連れて行きます。モモタロウはまだ、部屋の中でオシッコをしてしまうので、帰宅後が大変です・・。

それでもウンチはペットシーツの上で出来るようになりました!少しずつでもいいので、慣れてほしいものです・・・。

 

検査・予防接種を受ける

動物病院で全ての検査を受け、健康状態を調べてもらいました。結果、健康そのものだと言われました。狂犬病の予防接種も受けてきました。モモタロウは最近、「お手」が出来るようになりました。それにボールを投げると、ちゃんと持ってくるようになりました。とても賢い事がわかりました。故人様が教えていたのかも知れません。散歩の時、60歳くらいの男性にすごく反応しますが、故人様は60歳過ぎの方でした。

仕事中に倒れられ、すぐに病院に運ばれましたが、そのままお亡くなりになられたそうです。モモタロウはどんな気持ちでご主人様を待っていたのでしょうか。故人様は、今のモモタロウをどういう気持ちで見られておられるのでしょうか。きっと喜んでくれているに違いありません。

 

 

お風呂が大好き


 モモタロウをお風呂に入れました。とは言ってもシャワーですが。飼い猫のプーと比べて、モモタロウはシャワー中に鳴きません。むしろおとなしくくつろいでいます。

 

 

ミルクボーンにハマる

 ホームセンターで売っているミルク・ボーンが大好物です。歯磨きの効果も期待できるそうです。通常、チワワならSサイズのミルク・ボーンでいいのですが、モモタロウの場合、すぐに無くなってしまうので、Mサイズを与えています。

 

 

お気に入りのおもちゃ

 モモタロウの一番お気に入りのオモチャです。

遊んでほしい時は、自分からこのブタさんのボールを持ってきます。最近、とても仕事が忙しいから、構う時間が少なくなっています。

 

寒がりなモモタロウ

 ずいぶんと温かくなってきましたが、家ではまだストーブを点けています。モモタロウは寒がりなので、ストーブの前でよく寝ています。いつもオモチャを手放しません。猫のプーが近くに来た時は、オモチャをくわえて誘いますが、今のところ、振られてばかりです・・・。

 

 

名前負け!?

 今日は休日です。朝からポカポカ陽気なので、モモタロウと一緒に公園へ散歩へ行きました。いつもより遠い公園に行くと、モモタロウは不安がりました。きっと見慣れた風景ではない事に気付いたのでしょう・・・。臆病なモモタロウ、今のところは名前負けしています。

フルーツフラワーパーク
フルーツフラワーパーク

 今日は久しぶりの休日なので、モモタロウを連れて、妻と神戸市北区にある、フルーツフラワーパークに行ってきました。平日という事もあり、かなり空いていました。モモタロウは広い敷地を走り回り、私達の方が疲れてしまうほどでした。園内を回っていくと、猿回しのショーが開催されており、ペット同伴での見学も可能ということでしたので、もちろん見てきました。猿のくらのすけ君、本当に賢くて最高に楽しませてくれました。モモタロウも楽しそうにショーをジッと見ていました。

モモタロウ、手術を受ける

 動物病院でモモタロウの去勢手術をしてもらいました。片方の睾丸が腹部にまで上がってしまっていたのです。そのままにしておくと、睾丸が石のようになり、将来的に病気になってしまうそうです。手術は半日入院するだけで無事に終わりました。縫合部位を舐めないよう、シャンプーハットのようなカップを付けていますが、抜糸まで1週間。モモタロウ、

辛いかもしれないけどちゃんと我慢するんだよ。

甘えん坊 モモタロウ

 モモタロウは本当に甘えん坊です。近寄るとまるで猫のように、コロコロと転がって甘えるのです。これには飼い猫のプーも嫉妬です。

!!一周年!
ありがとう、モモタロウ

 

モモタロウを引き取って一年が経ちました。とても早く感じます。モモタロウには癒される事が多く、疲れも吹き飛ばしてくれます。事情を理解してくれた妻や、同居する先輩猫のプーにも感謝しています。そして何より天国の故人様も見守って下さっている事だと思います。これからも大事にしていきます。

「待て」ができました!

 モモタロウが大好きなおいしいおやつ。最初は袋を開けた途端におやつを奪われてしまっていましたが、最近は「待て!」を理解できるようになりました。「よし!」と言うまでモモタロウは伏せをしながら我慢できます。本当に理解力があるようです。

ボーロに夢中!

 よく見ると、モモタロウのおでことタマゴボボーロ、見れば見るほどそっくりです。最近のモモタロウはタマゴボーロに夢中です。もちろん、犬専用のタマゴボーロです。あまりにもおいしそうに食べるので、「ひとつちょうだい」と言うと、モモタロウが微笑んでいました。

注射後のシュン太郎

 狂犬病の予防接種を受け、モモタロウはシュン太郎になっています。獣医さんは、本当に優しい方で、モモタロウが家にやって来た経緯を話すと、それ以来ほとんど無料同然で診察をしてくれます。支払いをしようとしても、「大事にしてあげてくださいね。」と笑顔で微笑むばかり。いつもありがとうございます。感謝しています。

 

ブレス動物病院

http://bless.nomaki.jp/

言葉が通じた瞬間

 ある時、モモタロウを叱りました。インターホンの音に激しく吠えたからです。急に鳴り出す音に驚くのはわかりますが、なかなか慣れてくれません。

「そんなに吠えるなら、今日のおやつは無し!」

 私がそう言うと、モモタロウはこんなポーズをしたのです。この写真を撮るために、もう一度、

「おやつは無し!」と言ってみると、再びポーズを・・・。

言葉が通じた瞬間でした。

これからも、よろしくお願いします。

 お見積もりの際、お客様がよくこう言って下さいます。

「モモタロウ君は元気ですか?」

「読んで下さり、ありがとうございます。おかげさまでとても元気にしています!」

 

 遺品整理は、命の尊さを体で感じるお仕事です。その例として、モモタロウのお話をさせていただく事がありますが、ほとんどの方が読んでくださっています。更新が不定期ですが、これからもモモタロウの日記をよろしくお願いします。

 

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